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コラム 〜 ふじみんと学ぶ! お水の基礎知識

2016.01.28
富士山が世界遺産に登録された理由とは

富士山の豆知識

富士山が世界遺産に登録

2013年6月に、富士山は世界文化遺産に登録されたんだ。2015年には、3万人以上もの人が富士山に訪れ、外国からの登山者も増えているようだね。
どうしてここまで多くの人が富士山に魅了されるのかな?そこには古来、人々が感じていた神秘的な宗教性や芸術性が関係しているみたいなんだ。
ここでは、富士山が世界遺産に登録された理由と魅力について紹介するよ!

人々が畏れ崇める宗教性

畏れ崇める宗教性

古代の人々は、激しい噴火活動を行う富士山には神が住むと考え、畏れると同時に麓に湧き出る水に感謝する心を持つようになりました。当時は噴火活動が激しかったため、現在のように山に登ることはできず、人々は遠くから仰ぎ見て崇拝することしかできませんでした。
平安時代後期になると噴火活動が静まり、修験者が修行のために、富士山にいるという神仏を拝みながら山に登るようになりました。
室町時代には修験者だけでなく、一般庶民も山に登るようになりましたが、当時は男性のみに許された行為でした。
江戸時代には、「富士山やその神仏を拝み、願いを唱え、その恩に感謝をする」という教えの「富士講」が民衆に広まりました。そして、富士講に影響を受けた多くの人々が、富士登山や山麓の霊地に巡礼を行うようになったのです。
明治時代には、女性も富士山に登ることができるようになりました。

このように、古代からの自然に対する日本人の厚い信仰心と崇拝の念が国際的に評価され、富士山が世界遺産となる大きな理由の1つになりました。

世界を魅了する芸術性

魅了する芸術性

日本最古の歌集「万葉集」の中に、富士山を最初に取り上げた和歌が山部赤人によって詠まれています。また、古代から現代に至るまでに歌人たちが富士山を題材にして詠んだ短歌が編纂された「富士百人一首」という歌集も存在します。
さらに富士山は、和歌だけでなく文学作品の中にも登場し、「竹取物語」などの古典作品から俳句、漢詩、夏目漱石や太宰治などの小説でも取り上げられています。

また、芸術の中でも特に海外への影響が強かったものが絵画です。モチーフにもよく使用され、葛飾北斎や歌川広重によって描かれた富士山の浮世絵は海外にも輸出され、西洋の芸術家にも大きな影響を与えました。ゴッホやモネ、セザンヌなどは、日本から伝わった富士山の浮世絵にインスパイアされた作品も残しています。
富士山は古代より多くの文学作品や芸術作品において取り上げられ、国内外の多くの人々がその美しさや力強さなどに魅了されたことが、世界遺産に登録されたもう1つの要因でしょう。

富士山が世界遺産であり続けるための条件

世界文化遺産に登録された富士山ですが、まだまだ課題は残ります。それは、イコモス(ICOMOS)に指摘されている問題です。イコモスとは、国際記念物遺跡会議とも呼ばれ、文化遺産保護やその価値を高めるために活動している国際的な組織です。
富士山の場合、イコモスによる現地調査が行われ世界遺産としてふさわしいと認められたため、正式に世界文化遺産に登録されたのです。
しかし、イコモスは、登山者や山小屋、トラクターの通る道の管理方法や、噴火・火災が起きたときの対策、構成遺産に関わる開発に対する制限などの問題を指摘しています。そのため、日本は富士山に関する「保全状況報告書」を作成し、2016年2月1日までに提出することが求められています。

おわりに

富士山の世界遺産への登録は、古代より日本人に愛され続けてきた富士山の宗教性や芸術性が世界に広く認められた証でもあるんだね。日本国内だけではなく、海外にも富士山の魅力が伝わっているんだ!
また、近年では世界遺産登録をきっかけに、国内外から多くの観光客が訪れているみたいだね。人々を魅了してきた富士山の美しい景観を守るためには、登山者一人一人が登山におけるルールを守ることも大切だよ。